ヨガを始めると、身体が柔らかくなるだけでなく、心もリフレッシュされることを多くの方が実感しているでしょう。
ただポーズを取るだけでなく、ヨガの背景にある哲学や考え方にも触れることで、その効果は日常生活にまで広がっていくのです。
特に注目したいのが、ヨガの「8つの原則」です。
これは古典的なヨガの教科書「ヨガ・スートラ」に記された基本的な教えで、これを理解と実践することで、ヨガの効果をより高めることができます。
この8つの原則は、以下3つのカテゴリーに分けられます。
- 日常生活での行動の手引き:「ヤマ」「ニヤマ」
- ヨガのポーズと呼吸法:「アーサナ」「プラーナヤーマ」
- 心の集中と調和:「プラティヤハーラ」「ダラーナ、ディアナ」「サマディ」
今日はこの中から、最初のカテゴリーである「ヤマ」と呼ばれる原則に焦点を当て、ヤマがどのように日常生活に活かせるのかを紹介します。
毎日を楽に幸せに生きるためのヨガスートラ
ヨガスートラというのは、外の世界で幸せを探すのではなくて、自分自身の中にある苦しみの原因を知り、そこから抜け出す方法を教えてくれる本です。
この本には「八支則」という、自分自身をよくするための8つのステップがあります。
この8つをやってみると、なぜイライラするのか、なぜ悲しいのか、その理由がわかるようになるのです。
でも、これを実際に取り組むことはなかなか難しいのです。
苦しみの根本を見るということは、今までの自分の生き方や考え方を客観的に見ていくことになります。
実は心は現状維持が大好きなので、再び外の世界に私たちの目を向けさせようとします。
だから、この「八支則」をただヨガのときだけに使うのではなく、毎日の生活で実践することが大切なんです。
つまり、この考え方を自分の日常に取り入れるわけです。
悩みやストレスがあるのは、実は自分自身の心の癖が原因だったりします。
だから、この「八支則」を毎日の生活でやってみると、もっと楽にもっと幸せに生きられるようになるのです。
八支則のステップはどんなもの?
まずは古代インドの言葉サンスクリット語と日本語訳を紹介します。
- ヤマ(禁戒)
日常生活において行わない方がよいこと - ニヤマ(勧戒)
日常生活において行った方がよいこと - アーサナ(坐法)
座って瞑想していくために、カラダを整えること(ヨガのポーズ) - プラーナーヤーマ(調気法)
意識的に呼吸を整えることで心を呼吸に沿わせること - プラッティヤハーラ(制感)
カラダの感覚をありのまま感じること - ダーラナー(集中)
今の感覚に心を添わせること。心が今にとどまることを学んでいる段階。努力のいる集中。 - ディアーナ(瞑想)
今の感覚に心を添わせること。心の動きに気づいているため、集中が途切れてもまたすぐに戻ることができる。 - サマーディ(三昧)
今に集中している状態。心が定まっている状態。
ヨガスートラは、毎日の行動や考え方を少しずつ修正していくことで、心と身体が落ち着き、より幸せな生活が送れるようになります。
今回は八支則のなかでも、ヤマについてもう少し詳しくみていきましょう。
「ヤマ」で心も人間関係も豊かに!5つのルール
もし、あなたが知っている人がいつも怒っていて、嘘をついてばかりついて、時間とお金を無駄に使って、最後には「どうしても満足できない」と言っていたら、その人と友達になりたいと思いますか?
また自分がそのような人になりたいと思いますか?
おそらく、答えは「いいえ」ですよね。
「ヤマ」という言葉は、周りの人たちと上手に付き合い、自分自身もハッピーになるためのルールみたいなものです。
このルールに従えば、周りの人たちとの関係が良くなり、自分自身もより良い人生を送ることができるのです。
では、ヤマについて紹介します。
- アヒンサ(非暴力)
- サティヤ(嘘をつかない)
- アスティヤ(不盗)
- ブラフマチャリア(禁欲)
- アパリグラハ(不貪)
アヒンサ(非暴力)
アヒンサ(非暴力)というのは、手を出す暴力だけではなく、言葉で人を傷つけたり、自分自身を大事にしないことも含まれます。
たとえば、SNSで軽い気持ちで発した言葉が誰かを傷つけてしまったり、忙しさにかまけてちゃんと寝たり食べたりしないで体調を崩したりするのも暴力と言えるんです。
アヒンサの考え方を生活に取り入れるというのは、自分も周りの人も幸せにするために大事なことです。
毎日のちょっとした選択が、みんなの幸せにつながるんです。
サティヤ(嘘をつかない)
サティヤ(嘘をつかない)というのは、ただ他人を騙す嘘を言わないだけではなくて、自分自身にも正直でいることが大切です。
たとえば、上司に不公平なことを言われて我慢しちゃったり、マッチングアプリで自分の写真をいじりすぎて現実と違う人に見せちゃったり。
これって、結局は自分が一番辛くなるんですよ。
サティヤの考え方を取り入れるというのは、自分を正直なままでいられるということです。
これができれば、自分も他人も幸せになれるんです。
アスティヤ(不盗)
アスティヤ(不盗)というのは、物を盗まないだけではなくて、人の時間を無駄にしないことも大事なのです。
友達との待ち合わせに遅れちゃったり、誰かが話してるのに自分の話ばかりして話を遮ったりしていませんか?
これも実は「盗む」行為なんです。
時間は取り戻せないから、他人の時間を無駄にするのはよくないんです。
アスティヤの考え方を生活に取り入れると、みんなが大切な時間をより良く使えるし、人との関係も良くなります。
思いやりを持つことで、自分も他人も幸せになれるのです。
ブラフマチャリア(禁欲)
欲というのは、生きていくうえで大事なものもあるけど、それに振り回されすぎると、本当に何が大切なのか分からなくなります。
たとえば、好きな食べ物を好きなだけ食べてしまう。
その瞬間は楽しいかもしれないけど、後で体重が増えたり、何が身体にいいのか分からなくなってしまうんです。
日々の生活で「これは本当に必要なものなのか?」って自分自身に問いかける癖をつけると、もっと健康でバランスのいい生活ができるようになります。
アパリグラハ(不貪)
必要以上に何かに執着すると、そのものや人が唯一無二と思いすぎて、結局は自分も相手も苦しむことになります。
たとえば、旦那さんやパートナーにかなり執着してしまうと、ちょっとしたことで怒りや嫉妬が湧いてしまいます。
連絡がないだけで不安になって、その人しか見えなくなってしまう。
でも、その執着を手放したら、「あれ、こんなに気が楽になるんだ」と気づくこともあります。
物だけじゃなくて「心の断捨離」も大事です。
執着を手放すと、自分も相手ももっと自由で、幸せになれるのです。
まとめ
「ヤマ」の教えは、日々の生活をスムーズにするための多くのヒントを教えてくれます。
完璧な人間などいません。みんなが一度や二度は「ダメだった」と感じる瞬間があるものです。
しかし、毎日少しずつ「ヤマ」の教えを意識して取り入れることで、自分自身を穏やかで楽な状態に導くことができます。
この貴重なヒントを日常生活に取り入れて、より豊かな人生を手に入れてみませんか?
単に理論で知るだけでなく、実際に体験することが大切です。
是非、この教えを実生活で試してみて、その変化を自分自身で感じてください。