人から言われた冷たい言葉や悪口に傷ついたり、悲しい思いをしたりしたことはありませんか?
私は心理学を学び、人間の心理や行動について深い知識を得てきました。私自身も嫌な思いをしたときには学んだ知識を活用して対処してきました。
この記事では、私が学んだ心理学の知識と自身の経験をもとに、悪口を言う人の心理や悪口を言われたときの適切な対処法について紹介します。
悪口に対する理解を深め、ストレスを軽減する方法を学び取ることができます。自分自身と他人の感情をより深く理解し、より健全な人間関係を築くための第一歩を踏み出しましょう。
悪口と愚痴の違い
私たちの日常生活には、さまざまな形のコミュニケーションがあります。その中には否定的な感情や意見を表現するためのものも含まれます。特に悪口と愚痴は、人間関係の中で頻繁に見かける形式の一つです。
しかしこの2つの用語は混同され、同じものとして扱われることがあります。ここでは、2つの用語の違いについて紹介します。
悪口
悪口は他人をおとしめることを目的としており、意図的な敵意や侮辱が含まれることが多いです。悪口は他人の感情を傷つけるだけでなく、人間関係を壊す可能性があります。
例えばある人が他の人に対して「あの人は仕事ができない」と公にいう場合、明らかに悪口です。このような発言はその人の能力を否定し、その人の社会的評価を下げることになります。
愚痴
愚痴は自分が体験した困難やフラストレーションについて話す行為です。自身の感情や状況を他人に伝えることで、ストレスの解消や共感の得ています。
例えば「今日の仕事は本当に大変だった」と友人に話すとします。自分の経験したストレスを表現する愚痴で、友人からの共感や理解を求めるのです。目的は他人を侮辱または攻撃することではなく、自分の体験した困難を共有してストレスを軽減しています。
悪口ばかり言う人の心理
「口を開けば悪口ばかり…」という人って意外と多いです。男性でも女性でも、一緒にいて楽しいと感じられないはずです。なぜあんなにも悪口ばかり言っているのか不思議に思うこともあるでしょう。ここでは悪口ばかり言う人の心理を紹介します。
不満を口に出すことでストレスを発散している
心理学的に見れば、人間は負の感情を抱えると何らかの形で解放したいという欲求を感じます。特に日常のストレスが溜まったとき、解消方法として悪口を言う人もいるのです。
職場で上司や同僚に対する不満を抱えている人は、ストレスを解消するために友人や家族に対して悪口を言うことがあります。彼ら自身がその状況を改善するための直接的な手段を持っていない場合、特にそうです。
悪口を共有することで安心感を得たい
人間は自分の感情や思考を他人と共有することで、自分自身の経験が認知され理解されると感じます。悪口を頻繁に言う方たちの中には、自分の感情を共有することで安心感を得たいと思っているのです。
友人に対して他の友人の悪口を言う場合、背後には自分の不快感や苦しみを理解してほしいという願望があります。友人が同意してくれると自分の感じていることが正しいと認識され、安心感を得ることができます。
自分の意見がすべて正しいと思い込んでいる
人間は自分の視点や信念が絶対的であり他の人の見解が間違っていると感じることで、自分の意見を強く主張し他人を批判する傾向があります。自分の意見が全て正しいと思い込んでいるのです。
ある人が「あの上司、誰も好きじゃないよ。全然理解できない」と言い、自分の意見が正しいと信じて、他人に確認させて悪口を言うことがあります。
どんな人でも悪口は言われる
お釈迦様は
「皆にてほむる人はなく、皆にてそしる人はなし」
と言っています。
どんなに立派な人でもすべての人から好かれることはなく、どんなに嫌われている人でもすべての人から嫌われることはないという意味です。
誰もがすべての人から好かれることは不可能であり、またすべての人から嫌われることもありません。好き嫌いは、自分にとっての都合による部分が大きいです。すべての人と利害が一致することはないので、全員から称賛されることはないのです。
例えばお釈迦様でさえ、全員から好かれた訳ではありません。誰からも「いい人」でいたいと無理に多くの仮面をつけていると、自己を消耗させます。誰かが求める「いい人」の定義は人それぞれ異なるので、すべての人の要求に応じることは不可能です。
しかしどんな状況でも全員から嫌われることはない、とお釈迦様は言っています。何があっても自分を支えてくれる人は必ずいます。だからこそ全員から好かれることを求めるより、あなたの本当の姿を理解してくれる人を大事にすることが大切です。
ブッダが実践した悪口への対処法
ここではブッダが唱えた普遍的な真理を紹介します。この視点を通じて、私たちはどうすれば人間関係をより穏やかで生産的なものにし、自身の平和と調和を保つことができるのかを探求できます。
あるところにお釈迦様が多くの人たちから尊敬される姿をみて
ひがんでいる男性がいました。「どうして、あんな男がみんな尊敬を集めるんだ!いまいましい」
そこで男性は散歩ルートで待ち伏せして、
群集の中で口汚くお釈迦様をののしってやることにしました。「お釈迦様の野郎、きっと、俺に悪口を言われたら汚い言葉で言い返してくるだろう。
その様子を人々が見たらあいつの人気なんてあっという間に崩れるに違いない」そして、その日がきました。男はお釈迦様の前に立ちはだかって、ひどい言葉を投げかけます。
お釈迦様は、ただ黙ってその男の言葉を聞いておられました。弟子たちはくやしい気持ちで
「あんなひどいことを言わせておいていいのですか?」とお釈迦様にたずねました。それでも、お釈迦様は一言も言い返すことなく、黙ってその男の悪態を聞いていました。
男は、一方的にお釈迦様の悪口を言い続けて疲れたのか、
しばらく後、その場にへたりこんでしまいました。どんな悪口を言っても、お釈迦様は一言も言い返さないので、
なんだか虚しくなってしまったのです。その様子を見て、お釈迦様は静かにその男にたずねました。
「もし他人に贈り物をしようとしてその相手が受け取らなかったとき
その贈り物は一体誰のものだろうか」こう聞かれた男は突っぱねるように言いました。
「そりゃ、言うまでもない。相手が受け取らなかったら贈ろうとした者のものだろ。
わかりきったことを聞くな」男はそう答えてからすぐに「あっ」と気づきました。
お釈迦様は静かにこう続けられました。
「そうだよ。今、あなたは私のことをひどくののしった。でも、私はそのののしりを少しも受け取らなかった。だから、あなたが言ったことは全てあなたが受け取ることになるんだよ。」
悪口は受け取らないと相手の元に戻る
悪口は贈り物のようなものだと考えてみてください。あなたが受け取るかどうか次第で、受け取らなければ悪口は言った本人に戻るのです。悪口を言われたとき、反応して悪口を言い返すのが「受け取る」ことになります。
その反面、悪口を言われても無視し受け流すと、その言葉はあなたに影響を与えずに発言者のもとに戻ります。相手に反応せず自分自身が心地良く生活できる環境を保つためには、悪口を無視することが重要です。
悪い行為をすると、最終的には自分自身が苦しみを経験することになります。悪口を無視して、自分の心を穏やかに保つことが大切です。
まとめ
悪口と愚痴の違いを理解し悪口を言う人の心理を探ることは、対人関係のストレスを減らす重要な一歩です。以下3つの人は悪口を言う傾向があります。
- 不満を口に出すことでストレスを発散している人
- 悪口を共有することで安心感を得たい人
- 自分の意見が全て正しいと思い込んでいる人
しかし重要なことは、どんな人でも悪口は言われるという事実を受け入れることです。そうすれば私たちはブッダの教えのような悪口への対処法を適用することができます。
他人の言葉による傷を受け止めず、自分の内側に平和を保つことが重要です。私たちはより健全な人間関係を築き、人生をより豊かに生きることができるのです。